帰国後もメキシコへの愛は治まらず、日本でもメキシコの魅力に浸れる場所を作りたい、そんな思いに駆られた私は、お店を出そうと決意しました。

思いたったが吉日、猪突猛進な私は、スペイン語の習得とメキシコの歴史や文化を学ぶため、帰国期限を決めずに再び渡墨。

何も持たずに飛び込んだ日本人を、たくさんのメキシコ人が助けてくれ、日本でメキシコのバーをしたいというと、たまたま仲良くなったメキシコ人の友人が飲食関係の仕事をしてて、レストランやバーや蒸留所のオーナーを紹介してくれたり、色んなバーに連れて行ってくれたりと、お店をオープンするのに本当に助かりました。

ふと入ったバーでも人気のカクテルやレシピなど色々親切に教えてくれました。

今でもその友人家族は本当の家族みたいで毎年メキシコに行くのを楽しみに待っていてくれます。

メキシコでは家に遊びに行くと”Mi casa es su(tu)casa”直訳すると『私の家はあなたの家』ですが、気楽にしてね、とかくつろいでねという意味でよく言われます。

この言葉が凄く温かくて大好きで、日本では考えられないですが、ちょっと仲良くなると、直訳通り『私の家はあなたの家』と言って本当に泊めてくれます。日本で一度バーで出会ったメキシコ人の家にも泊らせてもらったことがあります。

世界有数のリゾート地カンクンに二ヶ月、第二の都市グアダラハラに四ヶ月滞在し、知識だけでなく、新たなメキシコの魅力をたくさん見出しました。中でも奥深いメキシコの食文化と歴史に触れたこと、特に古代アステカからの伝統的醸造酒を起源にもつテキーラの芳醇な世界に足を踏み入れたことで、“メキシカンバーを出す”という夢が膨らんでいきました。