“テキーラと言えば○○”

私が経営者時代に手掛けていたバーはそんな風におっしゃってくださるお客様が集まるお店でした。

 

今でこそテキーラをメインにしたお店は全国にたくさんありますね。でも約20年前にお店をオープンした当時は、テキーラの種類をたくさん揃えているのは大阪では2軒だけ。メキシコ時代のコネクションを生かして、日本未入荷のテキーラや希少なお酒も置いていたので、大阪以外にも関西一円からテキーラ好きのお客様が自然と集まるようになったのです。

 

ニッチ戦略?

差別化戦略?

当時そんな言葉は知りませんでしたが、学生時代から続くメキシコ愛を商売に落とし込む時に考えたのは「流行っているものでは勝負できない。珍しいテキーラをメインにしたメキシカンバーにしよう」ということでした。(なぜ学生時代にメキシコに恋に落ちてしまったのかはまた別の投稿で…)

 

居酒屋やバーなどお酒を扱う飲食店というビッグマーケットの中で特定のニーズ・需要に合致するコンセプト・強みを持っていたことが成功の理由だと思います。

 

競合が多い市場で闘っていくことは容易ではありません。横並びの中で最終的に価格競争に巻き込まれてしまうと、長くお店を続けることが厳しくなります。お店を始める時には、こういった他にはないコンセプトを見つけることが大切です。

もし何かに特化したコンセプトがあり、“このお店でしか” “このお店だけ”とPRできれば、宣伝に労力を割かなくても自然とお客様が集まるようになりますし、そういった物や体験を提供できるお店は強いブランド力でファン(常連客)を獲得していけます。

 

もちろんスタートは必ずしも楽ではありません。ニッチな故に先行店や参考にできる情報がないため、全て自身で考え試行錯誤しながらお店作りをしなければいけないのですから。私のお店も初めは苦労しました。ワイン・焼酎ブームの当時の日本では、メキシコやテキーラは危ないイメージがあり、テキーラの魅力を伝えなじんでいただくまで多少時間がかかったのです。

 

でも一度そのおいしさや奥深さを知っていただくと、他では飲めないテキーラを求めて何度も通っていただけるようになり、口コミで広がって来店客数が増えていきました。一度その軌道にのってしまえば、安定的な売上を出せる長寿店への道は容易になります。

 

お店を始める際には、ぜひしっかりと独自性のあるコンセプトを打ち出してください。