中学卒業〜高校入学までの一ヶ月間だけ、初めてのアルバイトを経験しました。

朝の喫茶店でホールのお仕事。『オーダーをとって出来上がったメニューを運ぶだけ』。そんなイメージは入店してすぐに吹き飛びました。

 

朝はお客様のほとんどが、コーヒー料金だけでトーストが付いてくるモーニングサービスを頼みます。トーストは、バターなしやバターとジャムのハーフ&ハーフなど、アレンジをお聞きしなければいけないのですが、常連さん達は顔も見ずに「アメリカン一つ」と一言告げて新聞を読み出したりするのです。

後はお任せ〜といった風情に困惑してまごまごしていると、厨房からオーダー完成のベルが…なんと常連さんがコーヒーを頼んだ時点で、厨房スタッフがその人好みのトーストを用意していたのでした。

 

朝の忙しい時間帯に、何も言わなくても自分好みのトーストが出てきたら嬉しいですよね。この喫茶店に常連さんがたくさんついている理由がその時わかりました。ですから私も、常連さん達それぞれの顔と“いつも”の内容を必死に覚えました。一見大変そうですが、15才の私でもすぐに覚えられましたよ。

すると不思議なことにお客様も私のことを覚えて声をかけてくれるようになったのです。「今日も暑いね」「また来るよ」なんて他愛もない内容が大半ですが、そんな会話が居心地のいいお店の雰囲気につながっていました。

 

『コロナ禍でも』という投稿でも書きましたが、お店とお客様の関係も人間関係と同じ。一方的にこちらだけを好きになってもらうことはできません。こちらが一生懸命お客様のことを知ってもっと心地よいサービスを提供しようと働きかけると、お客様も心を開いてくださいます。

ぜひお客様の好みを覚えて、その方が喜んでくれそうなひと工夫を接客に加えてみてくださいね。